書評

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完全保存版カヌーイスト野田知佑メモリアルブック(BE-PAL編集部 小学館 2023年4月24日)書評(というより個人的な思いを込めて)

2022年3月27日に亡くなった野田知佑。随分久しぶりに彼の文章を読んだ。今なお、その文章は輝きに満ちていた。いや違う。今こそ、今の時代にこそ、彼の言葉のひとつひとつが輝きを増しているのだ。本書の帯文で、作家の夢枕獏が次のような言葉を綴って...
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「旅人の表現術」(角幡唯介 2020年2月25日第1刷 集英社文庫)書評

角幡唯介は、探検家である。角幡唯介、は探検家である。角幡唯介は、ノンフィクション作家である。2010年「空白の五マイル~チベット、世界最大のツアンボー峡谷に挑む~」で第8回開高健ノンフィクション賞、第42回大宅壮一ノンフィクション賞、第1回...
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「完全なる白銀」(岩井圭也・2023年2月22日所初版第1刷・小学館)書評

山岳小説というジャンルがある。古くは新田次郎を想起する人は少なくないだろうし、夢枕獏、笹本稜平、沢木耕太郎、馳星周、樋口明雄等、大倉崇裕・・・等、個人的に好きな作家も数多い。その中で、幾度となく繰り返されてきた問い「人は何故山に登るのか。」...
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「強くなる本」(岡本太郎・2022年6月15日興陽館)書評

一定の年齢層においての岡本太郎像は、「芸術は爆発だ!」のイメージが強烈であり、そして、多くの人は「太陽の塔」の岡本太郎というほんの一面のイメージしかないかもしれない。恥ずかしながら私自身も同じようなものだ。だから、そんな私が本書の書評をする...
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星野道夫 永遠の祈りー共生の未来を目指してー(濁川 孝志 著 2019年3月21日第1刷 星雲社発売でくのぼう出版発行)書評

ーきっと、人はいつも、それぞれの光を捜し求める長い旅の途上なのだー  星野道夫が遺した言葉の中で、私にとってもっとも印象的かつ好きな言葉である。  渇いた心に心地よく染み渡るような数々の美しい言葉を遺した星野道夫。また、息遣いが聴こえてくる...
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「失踪願望。ーコロナふらふ格闘編ー(椎名誠・ 2022年11月30日・集英社)書評

このブログの書評のカテゴリでは、様々な書籍の書評をJPIC読書アドバイザーとして肩書の下にできるだけ客観的に書評として書いてきた。が、今回は個人的な感想が色濃くなるかもしれない。  さて、著者の椎名誠を評する言葉は数知れない。例えば、「昭和...
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「完全版社会人大学人見知り部卒業見込み」(平成27年12月25日初版発行・若林正恭)書評

本書の著者は、言わずと知れたお笑いコンビ「オードリー」のつっこみ担当の若林正恭である。お笑いに詳しくない人でも、ピンクのベストを来て胸を張り「トゥース!!」と言っている人と言えばわかるだろう。その人の名は春日俊彰であるが、間違ってはならない...
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「カスバの男」大竹伸朗 モロッコ日記(1994年5月7日・大竹伸朗・求龍堂)書評

本書は、アーティスト旅のエッセイシリーズの1冊であり、著者は画家の大竹伸朗である。大竹伸朗は、1955年東京生まれで、1982年の初個展以来、国内、海外で精力的な活動を続ける現代アートの巨匠である。本書が発刊されてから30年近くが経とうとし...
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「見えない音、聴こえない絵」大竹伸朗 ちくま文庫(2022年8月10日) 書評

最近、ある絵本作家の講演会での一コマだ。様々な興味ある話の中に、突如でてきたワード。(正確に言うならば突如ではなくきちんと文脈はあったのだが、、、)それは、「芸術とは固定概念を覆すのが仕事である」という言葉だ。ちょうど大竹伸朗著の本書を読ん...
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「南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山」樋口明雄 徳間文庫 書評

本書は、樋口明雄の大人気シリーズ「南アルプス山岳救助隊K-9」の11冊目となる。国内2位の高峰である北岳を舞台とした山岳救助犬とそのハンドラー達の活躍が描かれている。このシリーズを愛読されている方にとっては、もはや実在する救助隊、救助犬のよ...