絵本紹介㉑

絵本読み聞かせ

ブラチスラバ絵本原画展で購入した絵本シリーズ②

「つかまえた」(田島征三・2020年7月第1刷・偕成社)

 なんとも魅力的な1冊だ。田島征三の絵本といえば、個人的には「とべバッタ」が真っ先に思い浮かべられる。あのバッタの躍動感に満ち溢れた迫力は、田島征三作品の真骨頂だ。その迫力は、「つかまえた」の筆致にも遺憾なく発揮されている。一人の少年と一匹の魚、それぞれの生命が生き生きと描かれている。確かにその通りだ。確かにその通りなのだが、それをもっと的確に表現するだけの語彙力の無さに歯がゆさを覚える。描かれているのは、少年、魚、川、それだけだ。見開きいっぱいにはみ出んばかりの勢いで描かれる少年と魚の格闘。生命と生命のぶつかり

合いだ。そして、引きの画面では少年と魚の距離を描いている。背景は真っ白だ。この絵本の中で生命を躍動させるために、無駄な物は一切省き、こすりつけたような筆の跡が残っている。言葉もそうだ。無駄な言葉を削ぎ落して残された必要最小限の言葉は、説得力のある言葉だ。絵も言葉もこれ以上でもこれ以下でもない核となるもので構成されていると感じる。

 この紹介文を書きながら思い出した。本棚に1冊のサイン入りの絵本があることを。久しぶりに引っ張り出して読んでみた。その本が、「いろいろあってもあるきつづける」(田島征三・1999年5月22日第1刷・光村教育図書)サインの日付は、’99とある。今から、約24年前だ。夏期教員研修会で講演を聞いたときのものだ。はっきりは覚えていないが、木の実などを使って絵本作りをされていることをお話しされていたことを思い出した。その話が面白くて、その場で販売されていたこの絵本を購入したのだ。その頃は、教員生活3年目くらいだろうか、絵本に特別興味があったわけではない時期だ。今、思うと、この後、様々なことが契機となり絵本に興味をもっていったわけであるが、この絵本との出会い、田島征三さんとの出会いも、実は布石となっていたのかもしれない、と思う。

 

タイトルとURLをコピーしました