「戦火のなかの子どもたち」(岩崎ちひろ 作・岩崎書店・1973年9月10日第1刷)
子どもたちの幸せと平和を願い続けた岩崎ちひろの代表作であり、最後の絵本。ベトナム戦争の最中に描かれ、ベトナム戦争の終結を知ることなく亡くなったちひろ。第2次世界大戦を経験した自分自身の体験も取り込まれた本作の絵は、鉛筆と墨で描かれており、見る者、読む者の心の奥底に迫ってくる。そして、印象的なのが絵本の最初と最後に出てくるシクラメンの“赤”だ。
平和を願い続けながら亡くなったちひろの願いは今なお叶わない。巻末に綴られたちひろの言葉を引用しておきたい。
ー戦場にいかなくても戦火の中でこどもたちがどうしているのか、どうなってしまうのかよくわかるのです。子どもは、その「あどけない瞳やくちびるやその心までが、世界じゅうみんなおなじだからなんです。ー
先日、東京の「ちひろ美術館」を訪れ、ちひろの人生の歩み、創作活動の様子、そして、数多くの原画に触れた。安曇野ちひろ美術館には行ったことがあったが、もともとの住まいだった東京の美術館は初めてだった。絵本専門士のでちひろの息子さんである松本猛さんの講座を受講した。そのときに聞いたエピソードが想起された。猛さんが写る写真もあった。じっくりゆっくりとちひろの世界に触れ、最後に立ち寄ったショップでは、様々な書籍、グッズがあったが、最後に手に取ったのがこの絵本だったのだ。
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