さて「おむかいのやっちゃん」創作記録の第2回を始めることにしよう。
子ども達がこの絵本を繰り返し読んでくれると気づいてくれることがある。それは、ほとんどのページにUFOが描かれていることだ。空の片隅に小さく描いたり、もちろんページの中のメイン画として描いたりしているものもある。特に必要のないページの片隅に描いたのは、著者のほんの遊び心だ。読者が気づけば、ちょっとした喜びがあるかもしれないし、そんな様子を著者として想像するのはなかなか面白い。気づかなくても全然構わない。後で読み返した時に気づくということもありだ。実は、似たようなことは処女作「おじいちゃんのイカ」でも試している。それは、実際にはいなかったネコを随所に登場させていることだ。ページの端にネコが半分だけ描かれている場面などがあるのだ。原画の段階では、もう少しはっきり書いているものも実はある。
また、目の前で自分の絵本を読んでいる子ども達の姿をしょっちゅう見ることができるのは、小学校教員である趣味絵本作家の特権、醍醐味といえるかもしれない。一人の子がUFOの存在に気づき、数人が集まってUFOを探して大盛り上がりしているシーンを何度も見てきたが(まるでウォーリーを探せ状態だ。)ある意味これは作家冥利に尽きる。(おこがましくも作家なんていう言葉を使ってしまった。)作家という肩書を使うなら、ぎりぎり趣味絵本作家というくらいにしているのだが。(いつか自分で“絵本作家”と自信をもって名のれるように精進します)絵本の楽しみ方は自由だ。もちろん絵だけを繰り返し見るのも構わない。読者の年齢によって着目するところは違うだろう。自分が読者になって様々な絵本に触れる時もそうだ。
本書では、P.20のテレビ。ブラウン管の大きなテレビだ。子ども達が知っているテレビとは違うだろう。大人(といっても昭和世代かなあ)が見るとどうだろう。ガチャガチャと回すチャンネル。UHFやVHFの表示なんかは、ある世代以上だけが分かるものだろう。こんな風に色んな世代の方々がそれぞれの楽しみ方をしてもらえたら嬉しい。