「おじいちゃんのイカ」創作記録①

絵本創作

 2017年8月に刊行した初の絵本「おじいちゃんのイカ」(文芸社)がいかにして生まれたのか、自分自身の記録と記憶のためにも、今回、その創作の経緯について綴っておくことにする。

 もともとのきっかけは、刊行の2017年からさらに7年ほど遡ることになる。つまり今から10年以上前のことだ。当時、私は30代後半、不惑40歳を目の前にしていた。不惑?いやいや、当時の私は13年勤めた学校を辞し新たな学校へと移ったばかり、新しい環境の中で今までの経験をうまく生かせないような感覚に陥り、不惑どころか大いに戸惑っていた時期である。新しい職場に移る直前の2年程の間に両親を亡くし、その後、父方、母方の両祖母が亡くなったことで、(両祖父は既に亡くなっていた)恐らく初めて、自分自身のルーツというものについて考えたのである。考えたとは言え、自分自身が生まれた時には既に曽祖父母も亡くなっていたし、ルーツについてはほとんど知る由もない。ただ、自分自身が今ここにいるということは、両親がいて祖父母がいて・・・ということを改めて認識したのである。

 そんな時に思い出したのが、母方の祖父と晩年、私も大人と呼ばれる年齢になってから交わした会話のシーンだった。今となってはもっといろいろと聞いておきたかったと思うことが多々あるのだが、記憶の中では大人になってからの唯一の会話のシーンのように感じるのだ。おじいちゃんとは、子どもの頃は、盆、正月に会う程度で特別に関わりが多いというわけではなかったし、たくさんの会話を交わしたという記憶も・・・あまりない。しかし、いくつかのエピソードの記憶が脳裏に刻まれていた。そんなことに思いを巡らせているうちに、私の頭の中にある映像を今のうちに何らかの形で残しておきたいという思いが募っていったのである。

 そこで、無謀にも絵本作りを思いついてしまったのである。絵なんてほとんど描いたことがない。学校の図工の授業で描いたくらいだ。ただ、写実的な絵なんて全くといっていいほど描けないが、この頃以降、“詩画”にハマって遊ぶことになる。(素人の遊びだが、詩画についても機会をみて紹介したい)そうそう、絵本についてである。画材屋に足を運び、迷いながらもよくある絵本キット「白い絵本」を購入し、思い描いていた映像を絵の具で写していく作業に入ったのである。そこで、できあがったのがたった1冊のオリジナル絵本「おじいちゃんのイカ」なのだ。もう、ボロボロになっているが大切な1冊だ。さて、これがどうして出版に繋がったのか、それを語るにはまだまだ紙面が必要だ。今回はここまでとし、また次回ということにしたい。

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